「コルレス契約」と「コルレス口座」を使った送金のしくみ ー 外国為替のしくみ(2)
外国為替による送金について説明します。はじめに、「コルレス契約」と「コルレス口座」を使った送金について説明します。
コルレス契約とは
銀行が(おもに外国の)銀行と結ぶ、為替業務についての契約です。貿易にまつわる業務(輸入業者からの依頼による信用状の発行、為替手形による輸入代金の取り立て)をしてもらう、送金小切手に対する支払いをしてもらう、為替決済口座(コルレス口座)を開設してその口座から相手先口座に送金をしてもらう、などの契約です。コルレス契約を結んでいる相手の銀行を「コルレス銀行」、あるいは「コルレス先」といいます。
実際には、銀行間ごとで契約内容にかなり幅があるようです。送金小切手*1に対する支払いのみをしてもらう場合もあれば、貿易にまつわる業務もしてもらう場合、コルレス口座まで開設する場合もあります。送金のみを行うのであれば、国内の銀行とコルレス契約を結び、送金をしてもらう契約をします。(SWIFTコードを持ってなければ、SWIFTによる送金依頼のデータの送信もコルレス銀行にしてもらいます)
※下記の例では、各行の手数料は無視して説明しています。
コルレス口座のある銀行への送金
例えば、日本の企業がアメリカの企業に1ドル支払うとします。
まず、日本の企業がA銀行で100円を支払います(銀行は毎朝、その日の取引為替レートを店頭で発表し、そのレートで換算して支払う円の金額を決めます。ここでは1ドル100円だったとします)。その企業の口座から100円が差し引かれます。A銀行はネットワークにつながった端末で、送金の依頼のデータをコルレス銀行であるB銀行に送ります*2。
その依頼を受け取ったアメリカのB銀行は、A銀行のコルレス口座のドルを、アメリカの企業の口座に振り替えます。
コルレス口座のない銀行への送金(1)
まずは、「送金先の国に、コルレス口座のあるコルレス銀行を持っているが、コルレス口座のない銀行に送金しなければならない場合」についてです。
先述の例に、送金先のC銀行(コルレス口座なし)を加えて説明します。前半は同じです。そのあと、B銀行にあるA銀行のコルレス口座から、C銀行にあるアメリカの企業の口座に1ドルを送金してもらいます。
ここで説明したように、B銀行からC銀行への送金は、アメリカ国内での「内国為替取引」なので、中央銀行当座預金の口座間で振り替えて決済します。*3
コルレス口座のない銀行への送金(2)
次に、「送金先の国に、コルレス口座のあるコルレス銀行を持ってない場合」についてです。この場合、コルレス口座のあるコルレス銀行のなかで、送金先の国に、コルレス口座のあるコルレス銀行を持っている銀行を経由して送金します。
先述の例に、送金先の国、トルコのD銀行を加えて説明します。例えば、日本の企業がトルコの企業に5リラ送金するとします。日本のA銀行はトルコにコルレス口座のあるコルレス銀行を持っていませんが、アメリカのB銀行はトルコのD銀行にコルレス口座を持っているとします。B銀行の取引為替レートが1ドル5リラ、A銀行の取引為替レートが1ドル100円だったとします。
まず、日本の企業がA銀行で100円を支払います。その企業の口座から100円が差し引かれます。ここまでは、先述の例と同じです。A銀行はネットワークにつながった端末で、送金の依頼のデータをB銀行とD銀行に送ります。
すると、B銀行はA銀行のコルレス口座から1ドルを差し引きます。
すると、D銀行はB銀行のコルレス口座から5リラを、送金先のトルコ企業の口座に振り替えます。
国内のコルレス銀行を経由する送金
ここまでは、その銀行が外国にひとつはコルレス口座のあるコルレス銀行を持っていて、そこを経由して送金する場合の話でした。それ以外にも、日本国内の銀行(コルレス銀行)を経由して送金する場合があります。外国にコルレス口座のあるコルレス銀行を持っていない場合などです。この場合は、経由する国内のコルレス銀行に、中央銀行当座預金の口座間で振り替えて送金してもらうことになります。
これまでの例に、E信用金庫を加えて説明します。E信用金庫の日本企業の口座から100円が差し引かれ、E信用金庫から国内のコルレス銀行であるA銀行に、中央銀行当座預金の口座間で100円が送金されます。(E信用金庫の取引為替レートが1ドル100円の場合です*4)。その先は、上記の説明のとおりです。(E信用金庫がSWIFTコードを持っていない場合、支払指図の送信も国内のコルレス銀行であるA銀行が行います)
間違いがあれば、指摘していただけると嬉しいです。
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