根っこが知りたい

経済などの「なぜ」「どうして」を突きつめて考えるブログです。

不況の根本的な原因は “消費の限界” だと思います

短期的に見れば、景気は上向きのときもあれば下向きのときもあります。ここでいう “不況” とはそういったものではなく、「失われた20年」などといわれる長期にわたる経済の状況のことです。

つまり、企業がコストを抑えようとするなかで、厳しいノルマや長時間労働などの過度な労働を強いられる人、賃金の安い人などが生まれて、生活が大変な人が長期にわたって増えていっている状況のことです。


この記事は下記のリンク先の記事の続きです。長文ですが 漫画など差し込みながら 書いているので、まだお読みでなければさーっと目を通していただけると。(T_T)



ここでは “消費の限界“ のなかで、どのようにしてこういった長期にわたる経済の状況がおきているかを説明します。

リンク先の記事で書いたように、この限界は、そこに至ったらピタッと消費が増えなくなる、といったものではありません。これを「押し入れ」に例えると、押し入れがいっぱいになって(消費の限界に行き着いて)、それ以降は隙間を作っては詰め込むことになり、詰め込めば詰め込むほど詰め込みにくくなっていく、ということになります。つまり「消費は増えるが、増えるほどに増えにくくなっていく」ということです。

たとえば10人が働いていて、

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効率化されて5人が仕事をなくし、

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その人たちがまた仕事をはじめると、その分あたらしい商品が生産されますが、“消費の限界” に行き着いてしまっているので全体の消費量は増えにくく、既存の商品のなかで必需性の低いもの(それがなければ生活できない、といったわけではないもの)から消費が減る、ということではないでしょうか。

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効率化されて仕事がなくなる人がいて、
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その一方で仕事をはじめる人がいて、これが繰り返されると、あたらしく生産されて買われる(消費される)商品は増えていきますが、その一方で既存の商品の消費が減っていくことになるのではないかと思います。

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実際には、あたらしい商品(商品の種類)も増えにくくなっていきます。「商品の種類が増える」ということは「情報が増える」ということです。ひとりの人間が一定時間のなかで関わることのできる情報の量には限界があります。インターネットの登場により情報は格段に増え、さらに時間とともに増え続けてきました。現在、世の中はとても情報過多になっています。あたらしい商品が生まれても存在を知ってもらうことさえ大変です。実際には、あたらしい商品はすごい勢いで生まれていますが、一方でおなじくらいなくなっています。


つまり、商品の種類は増えるほどに増えにくくなり、増えたら増えたで既存の商品が生産量を減らしたりするのではないかと思います。


すべての商品は時間を奪い合う競争をしています。本が年々売れなくなっていったり、テレビが視聴率を落としていったり、新聞が読まれなくなったていったり、CDが売れなくなっていったりしていくのは、もちろん、ネットなどに需要を奪われている(置き換わっている)という側面もありますが、基本的には、消費の限界に行き着いて以降すべての商品が時間を奪い合う競争をしていて、必需性が低い商品からその競争に負けて需要が減っていっているのだと思います。

よく、「これが問題だったから需要が減ったのだ」とか、「こうすればまた業界が盛り返す」といった話がさまざまな業界でありますが、そんなことはありません。仮に何かが盛り返せば、ほかの何かが時間を奪われて数を減らします。

誰が悪いのでもなく、これは今の経済のしくみの問題だと思います。

人件費が抑えられ、過度な労働を強いられる人や、賃金の安い人や、仕事を失う人が生まれるのは、供給過多による価格競争ばかりでなく、こういった形で既存の商品が生産量を減らさざるを得なくなっていっている(既存の商品の需要が減っていっている)からだと思います。

今の経済は「一人あたりの生産量を増やし続けること」ができないと成り立たないしくみなのに、“消費の限界” (時間の限界)に行き着いてしまったために、それは増やすほどに増やしにくくなっていきます。

とはいえ、一人あたりの生産量を増やし続けないといけないのは、効率化で仕事を失った人がふたたび仕事をしなければならないからです。今の経済のしくみでは、生きるためには「お金」が必要で、「お金」を手に入れるためには「仕事」をしなければなりません。

ベーシックインカムが実施されれば、少なくともこの部分については問題が解決するはずです。


とりあえずこれで、「なぜベーシックインカムが必要なのか、ベーシックインカムでないといけないのか」について書いた記事は完結です。


「でも、それじゃあ “失われた20年” っていわれる前は、なんで経済がうまく回ってたの?」と思われる方もいると思います。これについて書いた記事がこちらです。


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