銀行は買ったドルなどの外貨をどうやって交換して、どこに持っているのか ー 外国為替のしくみ(3)
外国への送金などをおこなうためには、銀行はその国のお金を買って、どこかに持っておかなければなりません。「外国為替市場」で売買契約が成立したあと、実際にどうやってお金の交換をおこない、どこに預けておくかは、金融機関によって違います。
ここでは、日本の銀行と外国の銀行が円と外貨を交換する取引について説明していますが、それ以外の取引についても、想像していただけるようになっていると思います。
「外国の中央銀行に当座預金の口座を持っている銀行」の場合
まずは、その外貨を発行している国の中央銀行に当座預金の口座を持っている日本の銀行が、日銀に当座預金の口座を持っている外国の銀行と取引をする場合です。(つまり、お互いが相手の国の中央銀行に当座預金の口座を持っている場合です)。この場合、下の記事のように、それぞれの国の中央銀行当座預金の口座間で送金してお金を交換します。
「外国の中央銀行に当座預金の口座を持っていない銀行」の場合
しかし、上記のように外国の中央銀行に当座預金の口座を開設することができるのは、一部の大手銀行だけだと思います。日銀当座預金の口座を持っている外国の銀行を見ても全部で50行ほどで、アメリカやイギリスでさえ大手の5、6行といったところです。実際に、ブラジルの中央銀行に当座預金の口座を持っている日本の銀行を調べてみたのですが、UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行だけでした。
つまり、ほとんどの金融機関がこちらの場合に当てはまるのだと思います。(現在の日本では、大手銀行だけでなくほとんどの地方銀行から一部の信用金庫まで、多くの金融機関が外国為替取引をおこなっています)。そしてそれらの金融機関が外貨を持つのに使っているのが「コルレス口座」です。
日本の金融機関の「コルレス口座」がいったいどういった銀行に開設されているのかを調べてみたのですが(明確な答えを見つけることはできなかったのですが)、次のような記事を見つけました。
この記事によると、三井住友銀行には世界各国の1000を超える銀行のコルレス口座があるそうです。
「コルレス口座」は民間の銀行に開設されます。民間の銀行は破綻してしまう可能性があるので、そのリスクが少しでも少なくてすむように、その国を代表するような大手銀行に開設されるのではないかと思われます。
つまり、「シティバンク(米ドル)」「バークレイズ銀行(ポンド)」「ドイツ銀行(ユーロ)」「クレディ・スイス銀行(スイスフラン)」「ブラジル銀行(レアル)」「中国銀行(元)」などにも、同じように世界各国の金融機関のコルレス口座が開設されていて、日本の金融機関のコルレス口座もそこにあるのではないでしょうか?
こういった金融機関が、どうやって外貨を買ってコルレス口座に入れているかを考えてみます。例えば、日本のA信用金庫がアメリカのB地方銀行から、1ドルを100円で買ったとします。
A信用金庫は、B地方銀行が日本の大手C銀行に持っているコルレス口座に100円を振り込み、日銀当座預金の口座間でC銀行に100円を送金して決済します。
B地方銀行は、A信用金庫がアメリカの大手D銀行に持っているコルレス口座に1ドルを振り込み、連邦準備銀行の当座預金の口座間でD銀行に1ドルを送金して決済します。
補足
このほかの場合も、上記の説明から想像していただけると思います。たとえば、その外貨を発行している国の中央銀行に当座預金の口座を持っている日本の銀行が、日銀に当座預金の口座を持っていない外国の銀行と取引をする場合、「その国の通貨を相手から受け取るときは、その国の中央銀行当座預金の口座間で送金してもらい、円を相手に渡すときは、日本の民間銀行にある相手銀行のコルレス口座に振り込む」ということになると思います。
ここでは「日本の銀行と外国の銀行が円と外貨を交換する場合」について説明していますが、実際の外国為替取引は「違う種類の2つの通貨を交換する取引」なので、たとえば「日本の銀行どうしが円とドルを交換する」「日本の銀行とアメリカの銀行がユーロとドルを交換する」などといった取引もあると思います。こういった場合も、上記の説明から想像していただけると思います。
なお、いまさらですが、ここでの説明は「どの国でも銀行は大小を問わず、自国の中央銀行に当座預金の口座を持っている」ことを前提に書いています。
間違いがあれば、指摘していただけると嬉しいです。
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