政府は何を根拠に「好況・不況」の判断をしているか
「景気拡大の長さが、戦後最長になったかも」と政府(内閣府)の見解が示されました。(ちょっと前の記事ですが)。この1月で6年2カ月になったそうです。
何をもとにその判断がなされているかというと、基本的には、内閣府が計算して出している「景気動向指数*1」です。このグラフの右上がりの期間が「好況」、右下がりの期間が「不況」と判断されます。最終的には、外部からも人(経済学者など)を呼んで、「いつから景気の拡大が始まって、いつ終わったか」を決めて発表することになります。(そんなこと知ってるよ、と言われるかもしれませんが、話はここからです)
これを出すために使われるデータ*2は、「営業利益」や「有効求人倍率」、「所定外労働時間指数」など9つあります。そしてそれぞれのデータのグラフは、たいがいそれぞれの形になるのですが、下のグラフを見てください。(下は比較するために並べた景気動向指数です)
とてもよく似ていないでしょうか?
これは「生産指数」です。これも「景気動向指数」を出すために使われるデータの1つで、工業製品の生産量の増減を表しています。(最近までの生産指数のデータが入手できなかったので、今回の好況の範囲がグラフに入っていません。悲しい…)
つまり、現在の政府の景気判断にはさまざまなデータが使われているが「工業製品の生産量が増加しているか、減少しているか」がいちばん大きく影響している、ということだと思います。
今回の景気の評価についていえば「この6年2カ月のあいだ、工業製品の生産量が増え続けてきた」、そしてそのことによって「この期間が好況だった」と判断された、ということだと思います。
とはいえ、
現在、日本の就業者のうち、工業製品を作る仕事をしている人は17%ほどです。また、「工業製品」とはスーパーで売られているようなパックに入った豆腐から菓子パン、マヨネーズ、カレー粉といったものまで、形のある商品のかなりの部分がそれに含まれるのですが、実際には、国内の消費はほとんど増やせていません。そういったなかで、円安による輸出品の増加によって「工業製品」全体が増えているのですが(これが長期の好況という判断になった一番の要因ではないかと思われますが)、これに携わる人は17%のうちのほんの一部です。
はたして、本当に好況なのでしょうか?
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