根っこが知りたい

経済などの「なぜ」「どうして」を突きつめて考えるブログです。

「マネタリーベース」とは何か? その名前の由来は?

「マネタリーベース」「ベースマネー」とは何か? なぜそう呼ばれるのか? といった話です。

 

「マネタリーベース」とは何か?

世の中で “現金” を生み出せるのは中央銀行だけです。

※実際に印刷して中央銀行に納入しているのは別の会社ですが、その会社にとって1万円札などの紙幣は「商品」です。ここでの “現金” とは、世の中にとって「お金」の意味を持つ現金のことです。

しかし紙幣(や硬貨)は、中央銀行の中にあるうちはまだ「お金」の意味を持ちません。中央銀行がこれらを「貸す」か「何かを買って代金として支払う」ことで外の世界に出したとき、はじめてこれらは「お金」の意味を持ちます。

中央銀行がお金を、貸したり、代金として支払う相手は、基本的には、中央銀行に当座預金の口座を持っている銀行などの金融機関です。この口座を管理しているサーバ上にデータを書き込むことで、お金を口座に入れます。

民間の銀行がこのお金を手にするには、「この口座から下ろす」といった形で中央銀行から “現金” をもらってきます。つまり、このお金は “現金” としてしか外の世界に出ていきません。なので、この口座のお金自体も “現金” と考えてしまっていいのではないかと思います。

というわけで、“現金” とは「中央銀行の当座預金」+「外の世界に出た物理的なモノとしての現金」である、と言えるのではないかと思います。そしてこれを「マネタリーベース」あるいは「ベースマネー」といいます。(中央銀行が生み出したお金を、そう呼ぶ、とも言えます)

 

なぜ「マネタリーベース」というのか

ここで、「信用創造」について書いたこちらの記事を見ていただけるでしょうか。


この記事で書いたように、経済の教科書的には、「“現金” が貸し出されたり預けられたりを繰り返すことで、“預金が増える” といった形で世の中のお金は増えていく」と考えられています。

つまり “現金” は、「信用創造」によってお金を生み出すための “基(もと)” だということです。

そんなわけでこれを「マネタリーベース」あるいは「ベースマネー」と呼ぶ、ということだと思います。

 

マネーストックでいうところの “現金” とは

「信用創造」を説明した記事でも少しふれていますが、マネーストックでいうところの “現金” は、ここで説明したマネタリーベースの “現金” とは指しているものがちょっと違います。

マネーストックとは「商品の売り買いに使うことが可能なお金」のことです。具体的にいうと、“民間の預金” と “銀行の外にある現金” を合わせたものです。つまりマネーストックでいうところの “現金” とは、財布や机の引き出しに入れていたりする、商品を買うのに使える現金のことです。


間違いがあれば、指摘していただけると嬉しいです。


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