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そもそも為替とは何か、その基本的なしくみ ー「為替」とは何か?(1)

「為替(かわせ)」という言葉は、新聞やテレビを見ていると毎日のように出てくる、割とありふれた言葉です。でも、「何?」と聞かれると、答えられる人はそう多くないのではないでしょうか?

 

「為替」とは

離れたところにいる人にお金を渡すとき、直接お金を運ぶのではなく、あいだに立つ2つの金融機関がそれぞれ「代わりに受け取り」「立て替えて支払う」ことでこれをおこなう仕組みのことを「為替」といいます。

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もう少し具体的に説明します。例えば、ある人が近くにあるA銀行に行って、窓口で1万円札を渡し、B銀行の口座に送金する依頼をします。その口座のデータはすぐに書き換えられますが、1万円札はまだこの窓口にあります。

そのあと、その口座の持ち主がB銀行のATMで1万円札を下ろしたとします。口座のデータは振り込まれる前の金額にもどったことになりますが、B銀行からは1万円札が無くなりました。

これで、お互いの銀行の口座のデータは以前と変わりなく、1万円札だけが人から人に渡ったことになりますが、A銀行は代りに受け取ったまま、B銀行は立て替えて支払ったままです。

実際には、どちらの銀行も1日のうちにとてもたくさんの取引があり、お互いの銀行に対して何件も立て替えて支払ったり、代わりに受け取ったりして、お金が出入りします。

最終的に(1日のうちのある時点で)、どちらかがよけいに受け取り、もう一方は同じだけよけいに立て替えていることになります。

2つの銀行はその金額分を、それぞれが中央銀行に持っている当座預金の口座のあいだで送金して決済します(立て替えてもらった分を支払って、取り引きを完了します)。

 

もう少し説明をします

話を分かりやすくするために、“現金”のやり取りで説明しましたが、実際には現金を使わず、口座から口座に振り替える、といった形で送金することも多いと思います。

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例えば、ある人がA銀行の口座から、B銀行の口座に1万円送金したとします。するとA銀行の預金は1万円減り、B銀行の預金は1万円増えます。

民間の預金は、銀行にとっては “借金” なので*1、A銀行の借金が1万円減ったことになりますが、これは、B銀行に送金する1万円をその人の口座から出して、A銀行が代わりに受け取っている状態です。

逆にB銀行からすると、民間の預金が1万円増えたので、自分の借金が1万円増えたことになりますが、これはB銀行が立て替えて、その人の口座に1万円を入れてあげた状態です。

この場合も、その金額分を、それぞれの銀行が中央銀行に持つ当座預金の口座のあいだで送金して決済します。

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というわけで、現金を持ち込もうが、預金口座間で振り替えようが関係なく、民間のお金の送金を仲介して2つの銀行のあいだにできたその “建て替え額” は、1日に1回、中央銀行当座預金の口座のあいだで送金して決済します。

 

テレビでよく耳にする「為替」とは

ここまでに説明したのは「内国為替」です。これに対して、お金を送金する人と受け取る人がそれぞれ違う国にいる(送るお金と受け取るお金の種類が違う)場合に、この送金を、あいだに立つそれぞれの国の金融機関が仲介しておこなう仕組みを「外国為替」といいます。

この場合、自国のお金を、送る相手国のお金と交換しなければなりません。このときのお金の交換率を、為替レート、為替相場、あるいは単に “為替” といったりします。テレビなどでよく耳にする「為替」は、ほとんどがこれを指しています。


間違いがあれば、指摘していただけると嬉しいです。


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記事一覧 

*1:民間の預金は、銀行が金貸し商売の元手として民間から借りているお金です。